藤田寛之連載 トークマイドラマ 第5回

藤田寛之連載 トークマイドラマ 第5回

第5回. 進化の先に広がる景色(最終回)16.06.06 UP

自分自身の未来を描く時、僕には、全く方向性の違う二つの志がはっきり見えている。一つは、競技者としては最終章に差し掛かる中、さらなる高みを目指し続けて結果を残し、応援してくれる多くの人たちに恩返しをすること。もう一つは、これまで国内ツアーや海外ツアーに挑戦する中で培ってきた経験を生かし、日本のゴルフ界の発展のために貢献することである。前者はプロゴルファーになって以来、ずっと掲げ続けてきた志であり、これを諦める気持ちは今はまだない。後者は最近、特に強く感じるようになってきた使命感であり、それをカタチにしたものが2014年に開校した『ヤマハ ジュニアゴルフスクール』である。

昨年8月に開催した『ヤマハ ジュニアゴルフキャンプ 2015』
昨年8月に開催した『ヤマハ ジュニアゴルフキャンプ2015』

僕は長い間ゴルフとともに歩いてくる中で、ゴルフという競技から本当に多くのものをもらった。闘争心をむき出しにする多くのスポーツと違って、ゴルフはルールやマナー、エチケットを重んじる。僕はそういうゴルフが好きだし、これからゴルフを始める人には、競技者である前に一人のゴルファーとして存在してほしいと思う。そんなゴルフの精神を、藤田メソッドに落とし込んで子どもたちに伝えられればうれしいと思っている。

全ての原点となる志が存在する限り、人はいくらでも進化することができる。現に僕自身はプロゴルファーとして高みを追求する一方で、自分だけでなく日本のゴルフ界のためにも尽くしたいという想いを抱くことができた。物事がうまくいかない時、人は簡単に環境を変えようとするけれど、人が変えることができるのは結局、自分自身だけなのだ。しなやかな進化の先に、初めて見える風景がある。それが分かっているから、これからも自分の次なるステージにワクワクしたり、プレッシャーを感じたり、時に不安に迷いながら、決して逃げることなく自分に与えられた玉(ゴルフ)を磨き続けていこうと思う。